今日本に必要なスタートアップの資金調達手段「ベンチャーデッド」

General Partnerの源による記事です。
15th Rock Venturesが発行するNews letterから一部抜粋しています。弊社ニュースレターのご希望の方は、こちらよりご登録ください!

日本のスタートアップにおける資金調達の問題点

ベンチャーキャピタルをやっていると、当然、スタートアップから資金調達のご相談を数多くいただくのですが、その何割かは「御社にはVC資金はあまりお勧めしません」という理由で再考を促すことがあります。
お勧めできない理由は何パターンかあるのですが、その内の一つに「スタートアップの事業リスクに対して、VCが求めるリターンが過剰すぎる」というミスマッチがあります。

どういうことかというと、米国ベンチャーキャピタル業界が公表している2005年から2015年のデータを元に各ステージのVCの実現リターン(IRR)を独自に算出すると、どのステージにおいても50%~70%の範囲に収まることが分かります。当然アーリーステージになるほど、IRRは高くなる傾向にあります。

ここでスタートアップ側の観点で何が問題かと言うと、業種・成長ステージにおいて、事業リスクは様々なのに資金調達の手段は限定的だということです。
つまり、銀行融資に代表されるような上限金利15%までの低資本コストの調達手段があり、一方でVCに代表されるような50%超の高資本コストの調達手段はあるものの、資本コスト15%~50%の中資本コストの調達手段が存在しないということです。

中資本コストの調達手段である「ベンチャーデッド」

そこで中資本コストの調達手段である、「ベンチャーデッド」が日本でも潜在需要が高いのではないかと考えています。米国ではSilicon Valley Bank を代表としたプレイヤーが、ミドルステージ移行を中心に、典型的にはエクイティーキッカー付きのローン(負債に対して付与される新株予約権等)を展開して、確固たる地位を築いています。

また、Venture Debtの種類は20以上あるらしく、その裾野の深さに驚かされます。日本では昨年ようやく、あおぞら銀行さんが転換社債を活用したベンチャーデッドファンドの運用を開始したところです。さらに多様なベンチャーデッドの担い手が生まれてくることを大いに期待しています。

個人的に注目しているのは、ベンチャーデッドの中でもRevenue Based Financing というタイプで、ここ数年米国で急速にメジャーになってきているようです。典型的な条件としては、スタートアップの月次売上に対して5~7%くらいの金額を毎月返済してもらって、元本の1.5~3.0倍でキャップをつけるというものです。

エクイティーキッカー付きのものに比べて完全に希薄化が防げるため、我々のようなVCとも利益相反しづらいのが特徴です。

ご興味ある方はぜひご一報ください!
一緒に新たなタイプのベンチャーデッドファンドを創っていきましょう!

15th Rock Venturesについて
15th Rock Venturesは、Human Augmentationによって、身体的/精神的制約を解放し、人がより生き生きと暮らせる世界を実現させることが投資主題のベンチャーキャピタルです。Spirete株式会社というスタートアップスタジオを兄弟組織として保有しており、大企業の人材・技術シーズを組織の垣根を超えて結集させ、グローバル規模のスタートアップ創出を行うことで、自らもスタートアップを創り出しています。