投資先開拓にカナダのスタートアップがアツい理由

General Partnerの中島による記事です。
15th Rock Venturesが発行するNews letterから一部抜粋しています。弊社ニュースレターのご希望の方は、こちらよりご登録ください!

カナダのスタートアップシーンについて

日本から見ると、北米という事で、人によっては米国とあまり変わらないと思われているかもしれませんが、投資先を開拓する意味ではお勧めな環境が多数揃っています。お勧めであるポイントは、
「大学のレベルが高く技術力の高いスタートアップが多い」
「Valuationが安い」
「投資先のオペレーションの費用が安い」
「政府からのスタートアップ支援が豊富」
の4点が挙げられます。

大学のレベルが高く技術力の高いスタートアップが多い

直近で投資したLongan Vision社の経営陣が卒業したMcMaster大学は研究分野の名門大学として有名です。現役の教授陣と卒業生にノーベル物理学賞、経済学賞受賞者がおり、金融分野では有名なブラック・ショールズ・モデルを作ってノーベル経済学賞を受賞しているマイロン・ショールズも卒業生です。
他にも「Times Higher Education」が発表している世界大学ランキングで、カナダにある大学がいくつか上位にランクインしており、トロント大(18位)ブリティッシュコロンビア大(34位)マギル大(42位)モントリオール台(85位)等、多くの優秀な大学があり、技術的に優れたチームを集めやすい環境です。


※世界大学ランキングの参考として、McMaster大学は72位。日本からは、東大が36位、京大が65位、東北大と東工大が251-300位、阪大と名大が301-350位、北大と九大が401-500位

Valuationが安い

次に、カナダのスタートアップはシリコンバレーなどの米国のスタートアップに比べてValuationが非常に低い傾向にあります。
例えば、Series AのPost-money ValuationがUS$15~20Mぐらいがシリコンバレーのスタートアップのマーケット平均値の時、カナダのスタートアップはSeries AでCAD$10~15Mぐらいの感覚です。
米ドル(1ドル=105円前後)とカナダドル(1ドル=80円弱)の為替の差も考慮するとかなり割安ではありますが、ExitはNASDAQでのIPOや米国の企業へのM&Aなどが十分に見込まれます。

投資先のオペレーションの費用が安い

また、スタートアップの日々のオペレーション費用も安く、地価や物価水準が少し安いので、給与はシリコンバレーの半分ぐらいではないかという感覚があり、投資金額も当然抑える事ができると考えています。

政府からのスタートアップ支援が豊富

最後に、カナダ政府からの多くのスタートアップ支援策の一部を紹介します。皆さんご存知の通り、米国トランプ政権が移民を非常に制限しており、欧州各国も移民のこれ以上の増加を止めようとしていますが、カナダはまだまだ移民に積極的であり、Start-up Visa Programとして、一定程度の基準をクリアすると永住権が得られるスタートアップ向けのプログラムを推進し、世界中から優秀な起業家を集めようとしています。

こちらのサイトで検索できる様に、多くの種類のgrant(補助金)が政府から提供されています。開発に対するgrantも豊富にあり、Longan Vision社も複数受けていますが、特にハードウェアスタートアップにありがたいのが、量産前にある程度の受注を受けていれば、量産部材の購入金額をカナダ政府保有の銀行であるカナダ事業開発銀行(Business Development Bank of Canada)から貸付として資金を出してくれるのです。

また、このカナダ事業開発銀行(BDC)には、BDC Capitalというベンチャーキャピタル部門もあり、スタートアップへの投資によるサポートも実施します。コロナ禍のカナダ政府のスタートアップ支援策も強力で、BDC Capital Bridge financing programというプログラムを用意しています。一定の基準をクリアしたVCがスポンサーVCとして申請することで、スポンサーVCが直近で投資した金額と同額まで、マッチングファンド形式でConvertible Noteでの出資(総額はCAD$3Mまで)をしてもらえるプログラムです。


我々15th Rock Venturesは、この半年間BDC Capitalとの交渉をして来た結果、このスポンサーVCとしての承認を得ています。

上記の通り、カナダは非常に魅力的な投資対象国の一つだと感じており、今後コロナ禍の状況を注視しつつ活動対象国として、投資先の開拓を進めていきたいと思います。